② フラビウイルスに関する研究
蚊の唾液を標的とした蚊媒介性感染症の新規制御戦略
- デングウイルスやジカウイルスのような蚊媒介性ウイルスは蚊の吸血の際に唾液とともに接種されることで感染が成立します。
- 古くからウイルスの単独接種よりも蚊の唾液との混合接種やウイルス感染蚊の吸血において効率的に感染が成立し、病原性が増強することが知られています。
- 私たちは、蚊の唾液が誘導する自然免疫応答がウイルスの病原性増強に重要であることを見出し、その詳細な機能解析と唾液中の感染増強因子の探索を行っています。
期待される成果と最終目標
- 治療薬のないウイルス感染症に対して新しい感染制御薬候補としての提案が可能になる。
- 感染症流行地で蚊に刺されたときに、吸血(感染)部位に塗布することで、感染症の発症や重症化を防ぐことのできる外用薬の開発に繋げたいと考えています。
- 広範な昆虫媒介性感染症への応用と感染制御法の開発に資する研究への展開が可能である。
エネルギー代謝制御機構を介したフラビウイルスの増殖制御に関する研究
- エネルギー通貨のATPは細胞の機能を維持するために必要不可欠であり、解糖系とミトコンドリア呼吸鎖で産生されることが知られています。
- ウイルスは宿主由来のATPを利用して自らの複製を可能にしているため、ウイルスによる細胞内ATPの消費は細胞の機能異常にも繋がると考えられます。従って、「エネルギー代謝」はウイルス増殖や細胞機能を制御する新たな標的になると考えています。
- 私たちは、メタボローム解析や代謝フラックス解析などの代謝解析を実施し、フラビウイルス感染細胞のエネルギー代謝を詳細に解析しています。
期待される成果と最終目標
- フラビウイルスによるATPの消費を効率的に補填できる代謝特性を明らかにして、細胞機能を維持したままウイルスを産生し続ける細胞の樹立を目標にしています。
- このような技術は、ワクチン産生の効率化に繋がると考えています。